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『小さな小さな発表会について』

何をやるのか私どもも知らない発表会(十二月十八日・日曜日/十四時半から十六時半まで)ですが、どうやらその折りに日舞(といっても、「町かどの藝能」に必要な動き、しぐさ、日本の立居ふるまいの為というのが主目的です)の稽古発表をするようです。習っては中断、習っては中断で、なかなかまとまった稽古が出来ず、今年の春から又再開した日舞の稽古ですが、何しろ月一回の稽古です。おまけにその日に出席出来ない塾生もいたりして、先生には本当に迷惑をかけています。それを半ば強引に、無理をいっての発表ですから、どんなものになるか申訳ないようななりゆきです。でも「精一杯やる」のが身上の塾生たちですから、きっとがんばってくれると思います。

といいますのも、昨年の「町かどの藝能」公演の写真を撮って下さったお客様の中のお一人が、うちの人たちの様子を「精一杯演じる心意気」と題してコンクールに出品なさいました。そして見事「日本一」に輝やかれました。藤本裕紀様です。たしか富士フイルム主催のコンクールです。記念にその写真をいただきましたが、それを見た一人の感想 ―― 「ウヮッ、ちゃんと指先が伸びていてよかった」―― 。

でも本当にいい写真です。発表会当日も皆様に見ていただきたいと思っています。

又、梶田明子が何か本を書いているらしく、皆がそれをることをたのしみにしています。
来年二月の「草藁生活行」(塾の年度始めです ―― 上賀茂神社から貴船まで、草鞋履きで歩き、そのあと小さな発表会を持ちます)での脚本(かどうかわかりませんが、何かを)斉藤浩未が書く予定らしいです。今の世の中と同じく うちも女性陣のがんばりが多いようで、たのもしい限りです。

男性陣、がんばれ!!

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近況

愛らしい黄色い小菊があちらこちらに咲いています。
いっときは、よく樹上から落ちて来た花梨も、近頃は少し落ちなくなりました。下にあった車の天井がへこんだこともあり、うっかりその下を歩けない花梨です。というのも、花梨はとてもとても固い果実なのです。花梨酒にするととても美味しいのですが、切るのが大変で、毎年見送ってしまいます。以前は相国寺様の僧堂のお方が、時々花梨を持っていって下さってましたが、近頃はお見えになりません。以前の御師家様のように、花梨を好まれるお方がいらっしゃらないのでしょうか。夏の初めには可憐なピンクの花を咲かせてくれる、とても風情のある花梨の木です。

今、般若林の西側は入口から裏庭の端まで五十間もの間、ずっと工事中のフェンスがはりめぐらされています。お隣の烏丸中学さんとの境界の塀が改修されるのです。私どもの秋の「町かどの藝能」公演がすんでからと、待ってて下さったそうです。「町かどの藝能」の公演中にはチャイムの音を低くして下さったり、烏丸中学校様にはいつも好意的に受け容れていただいています。御近所の方々も、稽古でやかましくして申訳ないと思って居りますのに、反対に「たのしませてもらってます」といって下さったり、公演当日のお天気を、我が事のように気づかって下さったり、本当に囲りの皆さまに支えられ、助けられ、可愛がっていただき乍らの、感謝 感謝の日々です。

この十一月十二日(土)には向日市の長岡宮遺跡で小さな公演をいたします。遺跡の前に新しく「絵灯籠」を お作りになった、その点灯式のお祝いです。地元の皆様の熱いお心に応えられるよう心して行って参ります。

十二月十八日には恒例の塾生たちだけで、何をするのかを決めて、稽古をして、近しいお方に見ていただく小さな小さな発表会を持ちます。何をするのか、私どもには分かりませんが、けっこういつも自分たち(塾生)は楽しんでいるようです。来ていただくお客さまには御迷惑かも知れませんが・・・・。どうかあたたかい目で見てやっていただきたいと思います。又、後日、もう少しくわしくおしらせいたします。どうぞよろしくお力添え下さいますように。

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庭の石

秋の深まりと共に、京都を訪れる観光客はいよいよ多くなる。有名寺院や名所旧蹟はいわずもがな、近頃は京都人も知らないようなところへの方たちが沢山おいでになる。お陰で京都の歴史や伝統を改めて見なおしたという人もあるほどだ。情報過多といわれる時代の慮外の功績であろう。
京都はどなたもご存知のように盆地である。周囲を山にかこまれた京都は、夏はむし暑く、冬はしんしんと冷え込む。住む者には酷しい気候条件だが、反面そうした地形が素晴らしい庭園美を創り出してくれた。その最たるものの一つが借景である。周りの山々を実に巧みに我が庭園に取り入れている。庭の木や石、塀、そしてそれらの背後に望見する山脈 ―― その調和の美は万人の識るところである。
かつて我が師はよく門下生を連れてそうした寺院へでかけられた。そして庭を眺めながら、こんな話をされた。
借景の庭の小さな石 ―― その下には何十倍もの大きさが埋まっている。表に出ているのは、そのほんの一部でしかない。いわば氷山の一角なのだ。地面の下の、見えない部分の支えがあるからこそ、あんな小さな石が、大きな山を背景にしても負けないだけの力、重さがあるのだ ―― と。
演劇も同じである。表に出ている部分 ―― つまり舞台の上での生活を展開する為にはその何十倍ものの生活 ―― その人物の舞台上以外の生活 ―― を踏み込まなければならない。その支え、裏打ちがあってはじめて、いい舞台は成り立つ。
又、このことは演劇に限らず、他のあらゆるものごとに通ずる。いい仕事、すぐれた仕事をする人は必ず、どこかで、目に見えないところで懸命に己をふとらせ、充実させる努力を続けているものである。
庭石を通して教えられた不変の真理は、よき師に恵まれた幸せと共に、常に我がうちに生きている。

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ありがとうございました 

「町かどの藝能」その四十二 公演、無事におえることが出来ました。
ありがとうございます。
幸い、久々にといっていいほど、三日間ともいいお天気に恵まれ、澄んだ秋空の下での公演を持つことが出来ました。気温も暑くなく寒くなく、お客さまもおだやかなお顔で、たのしんで下さいました。海外からのお方もちょくちょく居られましたが、言葉はわからなくとも心は通じるのか、終始にこにこと、ゆっくりたのしんで下さいました。お客さまと唄って踊る「珠屋の商い数え唄」にも海外の方が一番に参加して下さり他のお客さまへの誘い水になって下さいました。勿論、御本人たちにそんなつもりは全く無いのですけれど ―― 。こんなところにも日本人との気質の違いがみられて、民族性の妙を感じました。

今は未だ連日、後片づけにおわれて居ります。けれど十二月の「小さな小さな発表会」の準備に一日も早く取りかからねばならず、皆、大童でがんばって居ります。
発表会の詳細につきましては後日、改めておしらせいたしますが、お一人でも多くの御参加を望んで居ります。どうぞその節はよろしくお願い申上げます。
中途半端な気候がつづいて居ります。どうぞ体調などくずされませんように。いい秋をおすごし下さい。

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直線

相国寺様の池のまわりの植込みが、短く刈りこまれました。あたり全体が見渡せて、とてもあかるく、さっぱりとして とても開放的な空間になりました。それにしましても、いつも植込みをみて思うのですが、一直線にすうっと同じ背丈に揃えられていて実に端正な美しさです。そんなこと当り前と植木屋さんに笑われそうですが、それは、境内を行き交う私たちにとって、とても心地よい美しい直線です。
日本人は大体直線が好きで、外国の円形劇場に対して、日本の能舞台は直線が見事に生きる美しい劇場です。
ずっと以前、直線と円を書いて、どちらを奇数と感じますかというアンケケートをとった事があります。百%の方が直線の方を奇数と感じるとおっしゃいました。
皆さまは如何でしょう?。

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奇数が好きな日本人が、直線を好むのも、こういうところにあるのかもしれません。
奇数の花道を持つ楕円形舞台 ―― 。(楕円は正円より直線が生きます)
長田先生の夢でした。

相国寺様のお池の周りの美しい直線が、ふと、こんなことを思い出させました。

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どうぞおこし下さい

夏の名残りの芙蓉の花が咲く間もない雨の九月、こんなに秋らしい日の少ない長月もめずらしいのではないでしょうか。
そして今は十月。
おさだ塾は秋の「町かどの藝能」公演の準備に追われて居ります。なにぶん人手の少ない中で、それも全て塾生の手で致しますので、今や時間との競争状態です。
装いを新たにした「蛇の目売り」は、女芸商人さんのやさしい心と、商い唄の楽しさ、美しさ、又、蛇の目を心から愛おしく想う蛇の目売りさんの心を感じていただける いい演目になりました。
「ひさごうり」は、唄物語りを生かして、語り手とそれを立体化する人たち、歌と語りのかけ合いなど、塾生の斎藤浩未さんが考えて工夫してくれたお蔭で、楽しんでいただける要素が沢山ふえました。
塾生の言によりますと「ちょっとしたミュージカルみたい」だそうです。
もっとも「町かどの藝能」そのものが、「江戸時代のミュージカル」といわれていますから、こういった演目がふえてくれれば、より楽しんでいただけると思います。
それぞれの芸商人がもっともっと工夫して、より楽しく、より美しく、より活き活きと、皆様のお目を、お心を、楽しませることが出来ればと思って居ります。
とに角残る日数はわずかです。それまでによりいい「町かどの藝能」に出来るよう全心身をかたむけて励んで参ります
どうぞお一人でも多くのご来場を心よりお待ちして居ります。

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いよいよ 秋です 

台風十号、十二号、十三号が矢継ぎ早やに関東、東北、北海道に、大きな爪跡を残して行きました。今まで南方海上で発生していた台風が、今回はみな近海で発生しているので、温暖化が急速に進んで来ているのではないかと、不安を覚えます。
十三号が通り過ぎた後、空の色にも、日差しにも、頬を撫でる風にも、やっと秋の気配を感じるようになりました。すでに般若林ではこおろぎと、かねたたきが二部合唱をしていますが ―― 。

おさだ塾は、来る九月二十四日(土)佛教大学四条センターでの「京ことばをたのしもう」講座の準備と、小さな京ことばのドラマの稽古に入っています。と、同時に十月十四日(金)、十五日(土)、十六日(日)公演の『町かどの藝能』(四十二)の稽古に取りくんでいます。
「京ことばをたのしもう」講座は、受講される方々が大へんたのしみにして来て下さってますが、今回で今年最後の講座になります。「京ことば」のやさしさ、あたたかさ、美しさから生まれて育てられた、京都人の気質、文化、芸術、更に「京ことば」の奥の深さ等々を、多くの方々に識っていただきたいと念っています。
『町かどの藝能』その四十二は、「蛇の目売りの新たな踊り、「ひさご売り」をミュージカル風に、「鳥笛うり」の新たなお話、「大福引」の口上等々、今までの物とは別に、形を変えたものがお目もじします。目下、俳優たちはそれぞれ芸商人として取りくんでおります。

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「町かどの藝能」の稽古をしています

毎日暑い日が続いています。今年は例年とは比べられない程の暑さを感じ、これも温暖化が進んで来ているからだろうかと不安を抱きます。

有難い事にここ般若林は緑の木立と土にかこまれていますから、よく風が通ります。建物の中に一歩入ると、ひんやりとした冷気がほてった身体を冷やしてくれます。

今から三十年くらい前 ―― おさだ塾が般若林へ移って来た頃は、
にぎやかなほどの蝉時雨で、真夏を満喫出来ましたが、どういうわけか近頃は蝉の鳴き声を耳にする事が少なくなりました。

四、五日前でしたが久しぶりに蜩の声を聞きました。ほんとうに久しぶりで、とても懐かしく思いました。ところが美しいものと思っていた蜩の声が、美しくないのです。透き通る高い声ではなく、ザラザラした雑音がまじった悪声でした。「蜩も大気汚染の影響を受けているのかな」と話していましたら、北海道の音威子府から出て来ている塾生が、北海道の蝉は高低をつけて歌うように鳴いていると話してくれました。蝉も土地によって、声も鳴き方もちがうのかと初めて知りました。

只今おさだ塾は十月十四日、十五日、十六日公演の『町かどの藝能』その(四十二)の稽古に励んで居ります。
今年は「蛇の目うり」「ひさご売り」を、今までのものとは別に新しく御覧いただきたいと考えて、稽古しています。
又、「鳥笛うり」のお話しは毎年新しくなりますし、「大福引き」の口上などもたのしくなります。
般若林が涼しいとはいっても、稽古に打ち込めばびっしょり汗が出ます。あと、一ヶ月くらいは汗を流し乍ら『町かどの藝能』の稽古に打ち込んでまいります。

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「 蓮池 」

相国寺様の蓮池は今まさに満開です。
池のまわりの生垣を 今年はうんと背を低くして下さったので とても中が見やすくなりました。
未(ひつじ)草といわれる睡蓮のように、午後二時過ぎには花を閉じてしまいます。蓮の花をたのしむには何といっても朝が一番いいようです。
只、今年は例年より鉢の数が少ないように思います。気のせいかも知れませんが ―― 。

今年の梅雨はどうなのでしょう。これからも降るのか それともこのまま上ってしまうのか。出歩く人にとっては晴がいいのでしょうが、やはり降る時には降らないと、いろいろと差しつかえが出てきます。

その昔、物を売る前に まずは芸能でお客さまにたのしんでいただき そののちに商いをする、そんな商人さんが沢山居りました。私どもおさだ塾が 毎年秋に公演して居ります「町かどの藝能」の主人公たちです。その芸商人たちは、梅雨の長雨にふりこめられても、決して恨み言をいいませんでした。
この雨のお陰で田に水が満たされ、草木が夏の暑さに耐えられるのだ。これも天の恵みの雨 ― と受けとったのです。
暑い、寒いと ブツブツいい乍ら、クーラーやヒーターにたよる現代とは全くちがった、大自然を敬い感謝の心を忘れなかった昔の人たち。そんな心を少しでもわかろうと、俳優たちは努力しています。
稽古場にクーラーはありません。うんと汗をかいて稽古をしたあとの、冷い麦茶のなんともいえない美味しさ ― 。旅の途中、谷川の冷い水で喉をうるおしたであろう芸商人に想いを馳せるひとときです。

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「萩の餅」

般若林の庭に宮城野の紅い萩の花が咲きました。はぎ2
未だチラホラですが、今に枝いっぱいにこぼれ咲くことでしょう。
この萩は、もう随分前に月心寺の村瀬明道尼様からいただいたものです。
はじめは紅と白の両方があり、白い萩はのびのびと、枝葉を伸ばし、花をつけ、紅い萩はひっそりと、遠慮勝ちに咲いていました。
それがいつの間にか白い萩が無くなり、紅い萩だけになってしまいました。

いつ、どのようにそうなったのか、誰にもわかりません。これも自然界の不思議なのでしょうか。

皆さまよく御存知の「お萩」(もち菓子)について。
白い御飯に紅い小豆をつけたこのもち菓子の様子を、昔の人たちは「萩の花のこぼれ咲きのようだ」と御覧になりました。そしてその餅菓子に「萩の餅」と名づけました。
一方、御所づとめの女房方は、たいそう言葉遊びがお上手で、ものの名前の上に「お」をつけ、下半分をとるということをお始めになりました。「ざぶとん」に「お」をつけて下半分「とん」を取れば「おざぶ」、「せんべい」に「お」をつけて下半分「べい」を取れば「おせはぎ1ん」のように。
「萩の餅」もこの方式で上に「お」をつけ、下半分を取り「お萩」になりました。
牡丹の花のさまから名づけられたといわれる「ぼた餅」ですが、これは「おぼた」とはいいませんね。
言葉というのは面白いものです。

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