『「町かどの藝能」を終えて』


十一月も、はや中旬に入りました。暫くご無沙汰をして居りました事、お赦し下さい。
『町かどの藝能』その四十四(十月十二日、十三日、十四日)の公演は晴天に恵まれて無事に幕を降ろす事が出来ました。報告と御礼が大へん遅くなりましたこと深くお詫び致します。

『町かどの藝能』は公演前の準備と、終わった後の片づけに大へん時間がかかります。今年もやっと全て終える事が出来ました。「ホッ」としたいところですが、来年春の「小さな劇場」の準備にかからなくてはなりません。さあ、誰がどんな脚本を書いて来てくれるのかたのしみです。
後片づけの折、休憩のひと時に思いだすのが『町かどの藝能』の三日間、公演の最後に芸商人が揃って唄う「お別れ甚句」に耳をかたむけて下さったお客様の笑顔です。
 〽今日の御縁のこのおつきあい、厚く御礼申します   
皆々様の御身(おんみ)の上の幸せ深く祈りつつ
又のお目もじお誓い申し これにてお別れ致します
これにてお別れ致します ―― 。
芸商人たちがお見送りするお客様の背に、ほのぼのとしたぬくもりを感じました。
「『お別れ甚句』を聞いて帰らんと『町かどの藝能』を見た事にならへん」「『お別れ甚句』聞いて、今年もこれで終わりやな」等お客様は有難いお言葉を残して帰っていかれます。ほんとうに嬉しいありがたいことです。
そして、又来年、お客様により楽しんで、喜んでいただけるように、今年の反省を生かして精進していかなくてはと思って居ります。
あっ、そうでした。何度かお話しておりました三人の見習いさんはよくがんばってくれました。殊の外暑かったこの夏、一生懸命稽古に励んだ三人でした。公演の三日間芸商人の見習いとしてしっかり生きて居りました。お客様も、見習いさんの初々しさに触れ、ほほえましい気持ちで接してくださいました。三人とも今回の経験で学んだ事を生かし、次に向かって成長してくれる事を願っています。

般若林の風情も変って来ました。楓や銀杏の色づきはまだ少ないですが、桜の葉は美しい紅色や黄色で地面を染めています。花梨は豊作で黄色い大きな実が鈴なりになっています。鉢植えの山茶花も、白と桃色の花が咲きはじめました。
暖かな霜月だと思っておりましたが、ここのところ日に日に寒さがましているように感じます。
どうか皆様お身体おいとい下さいますように。