『 たそがれどき 』


雀たちが遊んで居ます。
相国寺様のお池のほとり。地面に降りたり樹の枝に止まったり、仲間とせわしなく飛び交って、とても楽しそうです。立ち止まってしばらく眺めていると、すぐ目の前の金網に一羽の雀がひょいと止まりました。本当に目と鼻の先です。すぐに飛び立って仲間の中へ戻りましたが、なんか自分も仲間に入れてもらえたようで嬉しくなりました。単純ですね。
相国寺様の境内は、そう大きくはありませんけれど、とても豊かなところです。小鳥や小さな動物たちの天国で、今日は久しぶりに鴛鴦の番にも逢えました。それぞれが、あっちへ行ったりこっちへ来たり、でも一寸すると又一緒になって泳いでいます。雀たちに気をとられていた間に、なんと、雄が石橋の上に立って羽づくろいをしているのです。「おしどりって歩けるの?」――
しばらくして自分の間の抜けた疑問に思わず笑ってしまいました。鴛鴦だって卵を産んで雛を育てなきゃならないんですから、歩けなくては困りますよね。
そんなこちらの自問自答に何の関わりもなく、彼は悠々と毛づくろいをしてはブルブルっと羽根をふるわせ、本当に気持ちよさそうです。それにしてもどうのようにして水から橋の上へ上がるのか、一寸不思議です。いつまでも見ているわけに行きませんからその場を離れましたが、どうにも気になって、帰って来てから簡単な辞書で調べて見ました。
なんと驚いたことに鴛鴦は「好んで高い木の洞の中に巣をつくる」のだそうです。水の中にいるイメージしか持っていなかった自分のあまりの無知さに、改めておかしくなりました ―― というより、自分が常に関心を持っていることにしか心を向けない己の貧しさに、ちょっぴり疼きを感じています。
相国寺様のお池は本当にいろんなことを教えてくれるところです。

上の稽古場から声出しの声が聞こえて来ます。おそらく「読み聞かせ」の稽古をする為でしょう。
いつ聞いても稽古場からの声は嬉しいものです。