月別アーカイブ: 2015年1月

2月

久佐伎波里月(くさきはりづき)、萌揺月(きさゆらぎづき)、衣更着月(きぬさらぎづき)、気更来月(きさらぎづき)、如月(じょげつ)ーー。
2月の異名は、いろいろありますが、「梅見月」のような、庶民にも馴染みのある名もあります。
寒中から健気に咲く梅を愛でる心は古く、万葉の頃の「花」といえば梅でした。華やかな宮廷文化の生まれた平安の頃から、次第に桜へと移って行きましたが、今も尚、梅を愛する人は多くおいでです。

梅にまつわる有名な鴬宿梅(おうしゅくばい)の話は、誰もがよく知るところですが、村上天皇の御代(947-967)、天皇がいたく愛でられていた清涼殿の紅梅が枯れてしまい、悲しんだ帝は代わりの梅をと都中を探しまわられたところ、西の京の辺りのお屋敷にそっくりの見事な紅梅があるのが見つかりました。直ちにその梅を差出すよう命じられ、梅は清涼殿へ移し変えられました。
ところが、その梅の枝に一首の歌が結んであったのです。

「勅なれば いともかしこし鶯(うぐいす)の

          宿はと問(と)はば いかがこたへむ」ーー。

胸を打たれた帝は、直ちにその梅を元の持主に返されたという、有名なお話です。
歌の主は紀内侍(きのないし)。
帝の仰せとはいえ、自らの愛する梅を差出す悲しみと帝へのささやかな抗議。そんな自分の意志を実に見事に和歌という文学を通して伝えてられます。しかも、いささかも相手の心を傷つけることなく。だからこそ帝も自らの非を覚り、ただちにお返しになったのでしょう。

人の心を傷つけずに、自分の意志を通すというのは、本当にむづかしいことです。それを、今よりはるかに身分制度も厳しかったであろう時代に、見事に通された紀内侍という女性。
何という聡明さ、そして教養の高さでしょう。
ともすれば声高に自己主張をすることが美徳のようにいわれる欧米的(?)思考の蔓延する今の日本に、こんな素晴らしい先人が居られることを、今少し識(し)り、考えてみてもいいのではないでしょうか。

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草藁生活行

今年の京都は大変なお正月でした。
まれに見る大雪で、初詣の足を止められた方も沢山おいでだったことでしょう。

昔(?)は15日を過ぎるまでは「松の内」で、お正月気分が街の中にもただよっていたものです。
でも今は、もうそんな気分はほとんどないようですね。
皆さまは如何でしょう。

さて、おさだ塾では5日から、春の公演の本読みをはじめています。
中味以前に大阪弁に悪戦苦闘、同じ関西でも京都とは随分違います。関東出身の人にとっては尚更です。

お話は、
人気上昇中の若い女性の漫才コンビが、舞台上でおこした大失敗。
それをめぐってなんとか助けようと心をくだく善意の人々。
浪速の人情にあふれたお話しです。

又、2月11日には、おさだ塾の大切な年中行事、「草藁生活行(そうこうせいかつこう)」を実施いたします。
上賀茂神社から奧貴船までの約10キロを、わらじばきで歩くのです。
この行事、最初はマラソン大会でした。
雪の中を裸足で走るつわものも居りました。
天候のいい時はファンの中の有志の方々も参加され、けっこうにぎやかなマラソン大会でした。
しかし「町かどの藝能」をはじめるようになってから、わらじばきで自分と芸商人の二人づれで歩く「草藁生活行」に切りかえました。昔の芸商人に思いを馳せ乍ら、寒風の中を歩く、走るよりはるかに辛い行事です。
でも歩き終えた後は、みんな清々しい顔で。歩いて良かったといいます。
50年近く、一度もとぎれる事なく続けている大切な行事です。

今は寒中、けっこう厳しい日が続きますが、どうぞ皆さま、風邪やインフルエンザに御注意なさって、お元気でお過し下さい。

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平成27年 正月

明けましておめでとうございます。

月並みな御あいさつのようですが、一番平易で気取りのない言葉だと思います。

皆様 佳い新年をお迎えになりましたでしょうか。

それにしましても、日本には本当に沢山の新年を寿ぐ言葉がありますね。
「謹賀新年」なんて固い感じの言葉もあれば、「あら玉の」にはじまる優しい言葉もあります。
以前、たまたま調べたのですが、この「あら玉」という言葉、文字も意味も実にさまざまなのです。

阿良多麻・荒玉・新玉(珠)・粗玉・璞・麁・未ーー。

初めて見るような字もありますね。
意味も『改の字の心なり』(無言抄)とか、『磨かぬ玉を「あら玉」という。その玉をば砥にて研ぐゆゑに、「年」の枕詞にしそめしなり』(御傘)とか、又、『宝の内だから』とか『疾き心なり』などなど、いろいろとありました。

たしかに、新しい年には心改まりますし、この一年をどう過ごすかによってーー研ぎ方によって、いびつな玉になるのか、光り輝く素晴らしい珠になるのかーーそう思うと本当に意味深い言葉です。

誰にも平等にある新年を、どんな一年にするのかーー。
自分の心に問いかけて居ます。

どうか皆様にとって、より良き歳でありますようにーー。

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