月別アーカイブ: 2015年6月

『ラジオ放送今昔』

少し古い話をしよう。
戦後、日本が復興の歩みを一段と強くしていったころ。マス・メディアは新聞とラジオだけだった。
ラジオといってもNHKだけ。大阪BKは今年開局九十周年、京都OKは今月二十四日で八十三周年を迎えた。
そして昭和二十六年、民放が新たにスタートした。何分、ほとんど経験のない人間が、未知の事業に立ち向かったのだから、それこそテンヤワンヤであった。まして重役たちは現場の事など全く御存知ない。「一時間ドラマの録音に何故三時間も四時間もかかるんだ。一時間で取れ」―― 。こんな小言はしょっちゅうだった。
当時、録音の為のテープはとても高価なものだった。だからテープを切るなんてことは御法度、ドラマの収録中にもし誰か一人が失敗しようものなら、又、一から取り直しをしなければならなかった。失敗部分のテープを切ってつなぐなんて事は出来なかったからだ。だから俳優たちは大変である。もし自分が失敗したら全員に迷惑をかける。ピリピリしながら、それでもお互い気持はよくわかるから、誰も文句はいわなかった。
長丁場の時など、大物の人たちの中にはザブトンを持ちこんで、スタジオの片隅で横になって休む人もあったほどである。
効果音も、ディスクなんて便利なものはなかったから、全て手づくり。ミキサーの人たちの苦労は大変なものだった。ミキサーの手の足りない時は俳優たちも協力して音づくりを手伝った。深夜、寝静まった街へ出て、道路の真中に敷石を並べてジャリを撒き、その上を研究生の女優さんに下駄で走ってもらって「土道を小走りで行く」音を取ったり、火事の時には、布を張った大きな糸くり車のような道具を廻すといろんな風の音がでる。更に束ねた割箸を手でねじり、そのバリバリという音で火事の爆ぜる音を出したり、丼鉢を幾つも落としてガチャガチャ物のこわれる音を出したり ―― 。局の近くのうどん屋さんは、災難であった。
機能第一の今の現場とは違って、のどかというか、無器用で鈍くさいながらも温かい血の通う現場であった。

BKでは九十周年記念の行事で、昔のものの再放送(映)がいろいろとあるようだ。久しぶりになつかしい名人芸にふれられることだろう。

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荒々しいお天気

梅雨の晴れ間という言葉がありますが、今年の梅雨は本当に「楽」といっていいのかどうか、長く降り続くということがありません。もっともそれは自分の身近な地域に限ってのことで、九州や関東、東北の方々は酷い風雨に苦しんで居られます。どうしてこんな荒々しい気候になったのか、人間の心の荒みがそのままお天気に写されているのでしょうか。長く四季のうつろいを愛でて来た日本人にとって、本当に辛く、哀しく、「何に対して」とはいえないのですが、申訳なさのような思いに駆られます。昔の人が、天災は全て人の招くところと思われた心が、少しはわかるような気がします。おだやかな四季が一刻も早く、戻って来てくれることを念う心でいっぱいです。

さて、間もなく暑い夏が来ます。お陰様で般若林は、夏でもクーラーいらずの素晴らしいところです。それでも二階の稽古場は、南も北も一面ガラス窓、一階の涼しさがウソのような熱風にさらされます。
「町かどの藝能」の稽古には理想的(?)な自然の空気につつまれて、皆、汗を流すことになります。今は未だ何といっても梅雨の中、「この涼しい間に」―― と、時間を作っては稽古に打ち込んでいます。

「絵本の読み聞かせ」講座も少しずつ、どんな相手にどんな気持で話すのか、その為の抑揚や間、強弱など、専門的なことが増えて来ます。受講生の方は皆、意欲的な方々ばかりなので、とても楽しく、又厳しい時間を持たせていただけます。
「教えることは自分が学ぶこと」と、皆、実感しています。
四条センターの皆さんに感謝感謝です。

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『 雨 』

去る六月三日に近畿地方もつゆ入りしたようで、予報通りの曇りや雨の日が多くなりました。これから一ヶ月程、湿度の高いじめじめしたむし暑い日が続くのではないかと思うと、気分も滅入りがちです。
けれど、雨も亦いいもので、しとしと降るやさしい雨を受けて、色鮮やかに咲き匂う紫陽花には、安らぎを覚えます。
般若林の紫陽花も咲き始めて、しばらくたのしませてもらえます。

「つゆ」は「梅雨」とも、又「黴雨」とも書かれていますが、どちらもこの時期のことを、上手くいいあらわしているなあと思います。
もう一つ、「栗花落」と書いて、「つゆり」とよみます。つゆいりの頃に栗の花が落ちて実を結びはじめるからだそうで、事実「栗花落(つゆり)さん」という苗字もあるそうです。

私どもが公演活動している『町かどの藝能』の「蛇の目売り」の唄に、「数え上げれば百八つ・・・・・」と、雨の名前が沢山出て来ます。春、夏、秋、冬それぞれの季節に降る雨、降りそそぐ様子や人のくらしと結びつく雨、雨、雨 ―― 。
雨だけではなく、日本の言葉には状態や、意味、情景などを、きめ細かく、美しく、豊かに表わしているものが五万とあります。日本語はほんとうに素晴らしく、奥が深いと胸を熱くします。

今、十月公演の『町かどの藝能』(四十一)の稽古に入っていますが、湿度の高い日は三味線、太鼓の稽古はひかえなければなりません。たたくと皮がのびてしまうので。
数ある演目の一つ一つをよりきめ細かく研き上げていかなければならないので、初心を大切にしながら、稽古を積み重ねています。

むし暑く、不快指数の高い日もあろうかと思います。大切な御身体です。水分を十分に補給しておいとい下さい。

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『燕』

今年も燕が帰って来ました。
南の国から長い旅路を、元気でよく帰ってきてくれたなとうれしくなります。
去年いた燕が同じ巣へもどって来るのはほんとうに驚きです。よくまあ憶えているものだと感心します。
今年はその巣の隣にも、一つ新しいのが出来ています。
二つの巣には四、五羽の雛が、親の持って帰ってくれる餌を今か今かと待っています。
親燕は帰って来ると、必ず巣の近くで宙返りをします。すると今まで静かだった雛たちが一斉に声をあげ、口をいっぱいに開けて餌をせがんでいます。親燕は片時も休まず、せっせと餌を運んで雛たちをはぐくんでいます。その様子は健気で、いとおしくなります。
三週間もすれば雛たちは成長して、巣立って行きます。親燕は立派につとめを果たすのですね。
燕の世界には「認知症」もなく、親の「子育て放棄」や「虐待」がないのだと、しみじみ思います。

日本列島は火山の爆発的噴火や、海中でのマグニチュード8.1の巨大地震で全国的に揺れています。
「何卒大きな災害が起こりませんように」と念じるばかりです。
『絵本の「読み聞かせ」をたのしもう』の講座は二回目をすませました。全員出席で、皆さん真剣にとり組んでられます。
いつも乍らこちらが教えられることも多く、感謝と共に責任の重さを感じています。

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