月別アーカイブ: 2018年3月

『花』

窓のそばの椿が、今満開です。何本かあるのですが、一本の木にいろんな色の花が咲きます。白と紅の縞模様、斑、一重ずつに色が違っていたり実にさまざま、本当に豊かな彩り椿です。
有名な五色の椿より、うちの椿の方が素敵なんじゃないかな、と密かに思っています。
それにしても本当に般若林はいいところ。こんなところに居させていただけて、本当におさだ塾は幸せだなと、又しても改めて思いました。
裏庭の大きな桜の老木も今まさに満開。あと何度見られるのだろうと、少しでも長く、咲いてくれることを祈らずに居られません。毎年、桜の木の下に入って、花越しの青空を見るのが何よりの楽しみです。思い返せば、はじめておさだ塾が般若林に来させていただいた年の桜は、とても淋しい桜でした。それが一年、一年、年を経るごとに美しく、見事になって来ているような気がします。樹としてはおそらくかなり年老いているはずなんですが、おさだ塾が来てからというもの、本当に元気に、活き活きとして来て居ます。「樹も、人に見られて元気になる」と聞きますが、本当にそうだなと思い、よけいに愛おしく、長生きしてほしい想いが強くなります。どうぞ皆様も般若林の裏庭の桜を見に来てやって下さい。沢山の方に見ていただいて、もっともっと元気に、長生きしてほしいのです。

春の小さな劇場公演も間もなくです。その日に、といわず、それまでにも、是非是非見に来てやって下さい。勿論、公演の方も、御覧いただきたいのですが ―― 。今も二階では照明さんの仕込みが続いています。俳優たちもそれぞれにいろんな準備に慌ただしく動いています。こういう活気ある慌ただしさは本当に楽しいもの、普段からこういう慌ただしさがもっと有ればどんなに素敵でしょう。

本番までのほんのひとときを部屋に坐ってたのしんでいます。

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『春の公演まで』

春の雨が音もなく降っています。
「春雨じゃ、ぬれて行こう」 ―― ふと、そんな言葉を思い出し、思わず苦笑しました。今どき、こんな言葉を聞いて、合点して下さる方がどれくらいいらっしゃるでしょう。
時の流れは昔より随分早くなっているように感じますが、実際の時の流れは少しも変わりません。只世の中の物ごとが、次から次へ起こっては過去へ、起こっては過去へと忘れ去られていくだけ ―― 。
でも、わすれてはいけないことも沢山あります。この国に生きる一人として、よくよく見極めなければならないことも多々あります。でも報道は、その時その時の人の気持ちによって、民衆の関心の多寡によって、けっこう「忘れさせられる」ようなことも起こって来ます。時には「これは忘れてはいけない事だよ」と、関心を喚起してくれるような報道もあっていいのではないかと思うのですが、なかなかそのようにはなりません。尤も、報道によって民意を誘導するようなことは絶対してはならないのですから、そこは国民の側が、かしこく見極めるべきなのでしょう。
なんだか春雨に、似つかわしくない無粋な話になりました。

春の公演の稽古は、着々と ―― とはいかないようで、ノツコツ、ノツコツ、無器用にあちこちにぶち当り乍ら、それでも少しずつは前進しているようです。もう日数も余すところわずかですから、もっともっとペースを上げて、濃い内容の稽古をしていかなければならない段階なのですが、どうもそうはいっていないようです。不器用な人間は、他の人の何倍も稽古をしなければ上がって行きません。うちの場合は全員が不器用なのですから、みんなして「懸命」に「必死」になってくれないと上がりません。尤も稽古だけして居ればいいのではなく、塾全体のいろんな仕事もしなければなりませんから、俳優もスタッフも大変です。
それでも自分たちの本拠地で公演が持てるおさだ塾は最高に恵まれています。稽古場の確保に苦労している劇団が、ほとんどなんですから。
今日の土台を築いてくれた先輩たちに感謝して、全力で稽古に打ち込むことこそが、それに応える道でしょう。努力して苦労して、その結果お客様の拍手をいただけるのは「俳優自身」なのですから。
ここからは怪我なく、事故なく、全員が元気で当日に向かって邁進して、最高の状態で本番を迎えることこそ、お客様への唯一の感謝の証といえましょう。
がんばりましょう、ゴールまであとわずかです!!

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『 賑やかな近頃 』

ドタ、ドタ、ドタ、ドタ ―― 。
二階の稽古場からびっくりするような音が聞こえて来ます。春の舞台「野々井家の場合」の稽古の為です。
昔からというか、多くの俳優さんの場合、稽古の時はそれほど「力」を出さず、七・八分くらいでやっておいて、本番の時に百%力を出すんだという人がかなりありました。かなりというより、常識のように、そのようにして来た人が多かったのです。
でもおさだ塾では、「稽古は本番の為にするのだから、常に本番と同じように全力でやるのが当り前」という考えでずっとやって来ました。
塾を創って下さった長田純先生以来の教えです。
皆、「愚直」といっていいほど、先生の教えを守ってやって来ました。とはいえ、いつも全力でやるのですから当然疲れはたまります。でも好きでやっている仕事ですから、皆、ちっとも苦にせず今も楽しそうにドタドタとやっています。古い天井が一寸心配になりますが ―― 。

今日は曇り空。「春めく」というには一寸暗い空ですが、大地の気温は確かに変って来ています。〽どこかで春が、生まれてる ―― そんな歌も聞こえて来そうです。
これからの一月(ひとつき)あまり、二階のドタドタも続くでしょうが、要領よく手を抜ける器用な人より、鈍くさいうちの俳優さんたちの方が可愛いと思うのは「身びいき」かも知れませんね。
おさだ塾のちょっと賑やかな近頃です。

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