二人きりで暮らす老齢の姉妹、よしゑとかよ。認知症を患う姉のよしゑを、妹のかよは献身的に介護する。
徘徊を繰り返し、目をはなすとすぐにどこかへ行ってしまうよしゑに、かよは振り回される。しっかりものだった姉が変わっていってしまう様子に、かよの心は重く暗く締め付けられる。だが、夢の中をふわふわ漂っているようなよしゑは、まるで子どものように無邪気で純粋で、愛にあふれている。
そんな二人を、周囲の人々は優しく気遣う。近所の子ども達、民生委員の定岡さん、商店街にある食堂のご主人、通りすがりの見知らぬ人までも――
周囲の人々の温かい愛に支えられ、二人は笑顔を絶やさずに暮らしている。
そんなある日、莫大な借金を作って失踪し、連絡がとれなくなっていたよしゑの一人息子安之が、ひょっこり帰ってきた――
苦しく辛い日常を送りながらも、真っ直ぐ前を向きしっかりと足を踏みしめて人生を歩いて行く人々の、愛の物語です。
2017年「春の小さな劇場」の写真を集めました。
稽古風景