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『春のなごり』

少し前、美しい声を聞かせてくれた うぐいすは、あれ以来、一度も歌ってくれません。今日も多分 ―― 。そう思うと、あの夕ぐれ前のひとときが とても、いとほしい、大切な時間だったんだなと、惜しむ気持ちでいっぱいになります。
季節の移り変わりを見事に見せてくれる般若林に 又しても感謝です。

佛教大学四条センターでの『 「絵本の読み聞かせ」を楽しもう 』講座、今月は二十六日(土)です。三時半 ~ 五時まで。又楽しい、張りのある時間をいただけます。
今回、読み聞かせをさせていただく絵本は「お月さま」「もくもくやかん」の二本です。幸いうちはいろんな人たちがいてくれますので、それぞれ別々の本を楽しく学んでいただけるのです。向こうさん(四条センター)にも 講座に来られる方々にも喜んでいただけて、更に私どもも学ばせていただける、本当に有難いお仕事です。講座の前と後に、少しずつお話(季節のことなど)させていただくのですが、いつも新鮮で たのしくお話させていただいています。それにしても現今の女性方は本当に前向きで、向学心に燃えてられる方がとても沢山居られますね。本当にたのもしい限りです。私たちも もっともっと、心の栄養を沢山摂取しないと やせ細ってしまいます。お蔭様で いい刺激をいただけて、本当に有難いと思っています。

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『かきつばた』

今日もさわやかな五月晴れ ―― 。本当にこのところは「五月」にふさわしい いい気候がつづいています。
般若林のお隣は、以前、成基学園といったのですが、今はマンションになっています。オーナー(だと思います)のお方(女性)が とてもお花が好きで、いつも本当にまめにお世話をなさっています。そのお蔭でしょう、いろんな沢山のお花が育っています。杜若も見事なほど、太くたくましい花茎で、見事な花を咲かせそうです。般若林にも杜若があるのですが、栄養をあげてないせいか、ヒョロヒョロと可哀想な姿です。お隣に触発されて、うちのお花にも栄養をあげなければと思いました。早速買って来てもらいましょう。

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『素敵な たそがれ』

日暮れ前、めずらしく鶯が鳴いています。こんな季節はずれ(?)に
どうしてかなと思い乍らも、心たのしく耳を傾けています。おそらくお隣の塔頭 長得院様の林で鳴いているのでしょう。
たのしみは束の間、すぐにたそがれて来ました。正直なもので そうなるともう一声も啼いてくれません。また明日聞けるかどうか、でも久しぶりに美しいたそがれの一刻を プレゼントしてくれました。やはり般若林は恵まれたところです。
今から三十数年前、始めて般若林を目にした時は、荒れ果てた、外部の方の目には おそらく「幽霊屋敷」と映りそうな姿でした。木々は繁り放題、建物も今にも朽ち落ちそうです。でもその土地の広さ、豊かさ、手を入れられていないだけで 一生懸命磨けばきっと生まれ変るはずです。「なんとか ここをお借り出来ないものか」と、不安をいっぱいかかえ乍ら、長田先生につれていただいて伺いました。ところがなんと、ものの数分で「どうぞ」と快諾していただけたのです。きっと一瞬で長田先生のお人柄を見抜いて下さったのでしょう。本当に夢のような、今でも胸がドキドキする出会いでした。以来三十数年、本当に有難く、幸せな この上ない「場」に居させていただいています。「場」といいましたが、単に居るところという意味でなく、なんとも説明しがたい 今のはやり言葉でいえば「パワースポット」のようなところです。ながい間、何人も何十人も、もしかしたら何百人もの禅僧が学ばれ、巣立たれた修行の場です。そんなところに居させていただいているのですから、皆、もっともっと真剣に学び、修行せねば、「場」に叱られます。放り出されないよう、心を引き締めて 過ごして参ります。

六月十日、福井へ参ります。「町かどの藝能」の公演の為です。今は連日、その為の稽古に励んでいます。稽古場から絶えず声が、唄声や話している声が聞こえて来ます。
本当に幸せなこの頃です。

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『五月の花』

今日も降り出しそうな暗い空です。ここしばらく雨が少なかったので、庭の樹々や草花たちも 天を見上げて雨を待っているでしょう。
それにしても自然は本当に偉大で、立派ですね。何のてらいもなく只あるがまま、そしてあらゆる生命を生かしてくれます。雨であれ、お天気であれ、いろんな天候があってくれることが、どれほど幸せなことか ―― 。
こんな当り前のことを、あらためて言葉にしたくなるのは、どういうことなのでしょう。でも今は、素直にそう感じています。

佛教大学四条センターでの「絵本の読み聞かせ」講座、第一回目を無事に終えて、第二回目の為のいろんな整理をして居ます。それにしても四条センターにお越し下さる皆さまは本当にレベルの高い方々で、毎回、いろんな刺激をいただいています。このセンターは、「共に生きる ―― 共生き」という、佛教大学の精神を具体化する一つの場であり、多くの方々の心と知性を満たしている素晴らしい処です。だからといって堅苦しいところはいささかも無く、皆さんのびのびと、自からの人生をより豊かに、より美しく輝かせようと楽しんでらっしゃいます。
こんな素敵な「場」があることを、もっともっと沢山の方々に知っていただきたいなと心から思います。未だ御存知でない方、是非是非、佛教大学四条センターの講座案内をごらん下さい。あるいは一度、何かの講座を見学していただくのもいいかなと思います。バラエティーに富んだ、とても前向きな講座ばかりです。四条センターの方々は「社会還元の一つ」としてこれらの講座を運営なさっているので とても意義深い講座が沢山あります。場所は四条烏丸東北角 京都三井ビルの四階です。是非一度、資料を取り寄せるなり お訪ねいただくなりして、御検討下さればと思います。

おさだ塾の本拠地 般若林は今、五月の花盛りです。杜若(かきつばた)も生き生きと背を伸ばしています。あまり栄養をあげてないので、いいお花が咲いてくれるかどうかわかりませんが ―― 。
間もなく花梨の花もさくでしょう。

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『 春の終わり 』

春の公演も事なく済み、今は今月末から始まる「絵本の読み聞かせ」講座に向けて準備中です。絵本にはいっぱい、素敵なお話が沢山あります。でもこの講座の場合は全員の方(三十名を二班に分けて、一つのお話に十五名ずつです)に話していただきたいので、当然長いお話は出来ません。いつもなるべく五分以内にお話しで来るものを選ん
で、皆さんに学んでいただいています。
それにしても佛教大学四条センターの講座の皆さんはいつもとても意欲的で、能動的な方ばかりです。とても楽しく、時にはこちらが押される位のエネルギーです。自分たちが勉強させていただけて、そして喜んでいただけるのですから、本当に最高に有難いお仕事です。

六月には、福井県小浜市で、「町かどの藝能」の公演をさせていただきます。野外ですので雨にならないことが一番の願いです。とはいえ科学がいくらすすんでも、お天気まで左右出来るようにはなってほしくないと思っています。それでなくても人間の傲慢が、さまざまな公害を惹き起こしているのですから。
ここ般若林にいると、自然の素晴らしさ、有難さが全身で感じられます。貧しい自分たちの心がどれほど救われているか、その恩恵ははかりしれません。
ふと窓を見るとユーホーのような輪っかが二つ、窓に浮かんでいます。 ―― 何のことはない部屋の中の蛍光灯が窓のガラスに映っていたのでした。そうわかって見ていても、けっこうたのしく、いろいろと想像をふくらませてたのしんで居ます。
こんなのんびりとした時間は本当に久しぶりですが、これも仕事の合間だからこそです。お仕事がなければ私たちはただの失業者、ボチボチでもお仕事をさせていただけていることがどれほど有難いことか、あらためて感謝です。

般若林の外でも桜の季節がそろそろ終わりです。京都へ観光に来られる方の数も、少しは落ちつくでしょう。でも青葉の季節の京都も素敵ですから、又、大勢の方がお見えになるかも知れません。住んでいる人間にとってはいささか困ることもある「観光客」ですが、不足をいっては申訳ありませんね。

大分、陽が傾いて来ました。そろそろ外へ出てみましょう。

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『花』

窓のそばの椿が、今満開です。何本かあるのですが、一本の木にいろんな色の花が咲きます。白と紅の縞模様、斑、一重ずつに色が違っていたり実にさまざま、本当に豊かな彩り椿です。
有名な五色の椿より、うちの椿の方が素敵なんじゃないかな、と密かに思っています。
それにしても本当に般若林はいいところ。こんなところに居させていただけて、本当におさだ塾は幸せだなと、又しても改めて思いました。
裏庭の大きな桜の老木も今まさに満開。あと何度見られるのだろうと、少しでも長く、咲いてくれることを祈らずに居られません。毎年、桜の木の下に入って、花越しの青空を見るのが何よりの楽しみです。思い返せば、はじめておさだ塾が般若林に来させていただいた年の桜は、とても淋しい桜でした。それが一年、一年、年を経るごとに美しく、見事になって来ているような気がします。樹としてはおそらくかなり年老いているはずなんですが、おさだ塾が来てからというもの、本当に元気に、活き活きとして来て居ます。「樹も、人に見られて元気になる」と聞きますが、本当にそうだなと思い、よけいに愛おしく、長生きしてほしい想いが強くなります。どうぞ皆様も般若林の裏庭の桜を見に来てやって下さい。沢山の方に見ていただいて、もっともっと元気に、長生きしてほしいのです。

春の小さな劇場公演も間もなくです。その日に、といわず、それまでにも、是非是非見に来てやって下さい。勿論、公演の方も、御覧いただきたいのですが ―― 。今も二階では照明さんの仕込みが続いています。俳優たちもそれぞれにいろんな準備に慌ただしく動いています。こういう活気ある慌ただしさは本当に楽しいもの、普段からこういう慌ただしさがもっと有ればどんなに素敵でしょう。

本番までのほんのひとときを部屋に坐ってたのしんでいます。

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『春の公演まで』

春の雨が音もなく降っています。
「春雨じゃ、ぬれて行こう」 ―― ふと、そんな言葉を思い出し、思わず苦笑しました。今どき、こんな言葉を聞いて、合点して下さる方がどれくらいいらっしゃるでしょう。
時の流れは昔より随分早くなっているように感じますが、実際の時の流れは少しも変わりません。只世の中の物ごとが、次から次へ起こっては過去へ、起こっては過去へと忘れ去られていくだけ ―― 。
でも、わすれてはいけないことも沢山あります。この国に生きる一人として、よくよく見極めなければならないことも多々あります。でも報道は、その時その時の人の気持ちによって、民衆の関心の多寡によって、けっこう「忘れさせられる」ようなことも起こって来ます。時には「これは忘れてはいけない事だよ」と、関心を喚起してくれるような報道もあっていいのではないかと思うのですが、なかなかそのようにはなりません。尤も、報道によって民意を誘導するようなことは絶対してはならないのですから、そこは国民の側が、かしこく見極めるべきなのでしょう。
なんだか春雨に、似つかわしくない無粋な話になりました。

春の公演の稽古は、着々と ―― とはいかないようで、ノツコツ、ノツコツ、無器用にあちこちにぶち当り乍ら、それでも少しずつは前進しているようです。もう日数も余すところわずかですから、もっともっとペースを上げて、濃い内容の稽古をしていかなければならない段階なのですが、どうもそうはいっていないようです。不器用な人間は、他の人の何倍も稽古をしなければ上がって行きません。うちの場合は全員が不器用なのですから、みんなして「懸命」に「必死」になってくれないと上がりません。尤も稽古だけして居ればいいのではなく、塾全体のいろんな仕事もしなければなりませんから、俳優もスタッフも大変です。
それでも自分たちの本拠地で公演が持てるおさだ塾は最高に恵まれています。稽古場の確保に苦労している劇団が、ほとんどなんですから。
今日の土台を築いてくれた先輩たちに感謝して、全力で稽古に打ち込むことこそが、それに応える道でしょう。努力して苦労して、その結果お客様の拍手をいただけるのは「俳優自身」なのですから。
ここからは怪我なく、事故なく、全員が元気で当日に向かって邁進して、最高の状態で本番を迎えることこそ、お客様への唯一の感謝の証といえましょう。
がんばりましょう、ゴールまであとわずかです!!

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『 賑やかな近頃 』

ドタ、ドタ、ドタ、ドタ ―― 。
二階の稽古場からびっくりするような音が聞こえて来ます。春の舞台「野々井家の場合」の稽古の為です。
昔からというか、多くの俳優さんの場合、稽古の時はそれほど「力」を出さず、七・八分くらいでやっておいて、本番の時に百%力を出すんだという人がかなりありました。かなりというより、常識のように、そのようにして来た人が多かったのです。
でもおさだ塾では、「稽古は本番の為にするのだから、常に本番と同じように全力でやるのが当り前」という考えでずっとやって来ました。
塾を創って下さった長田純先生以来の教えです。
皆、「愚直」といっていいほど、先生の教えを守ってやって来ました。とはいえ、いつも全力でやるのですから当然疲れはたまります。でも好きでやっている仕事ですから、皆、ちっとも苦にせず今も楽しそうにドタドタとやっています。古い天井が一寸心配になりますが ―― 。

今日は曇り空。「春めく」というには一寸暗い空ですが、大地の気温は確かに変って来ています。〽どこかで春が、生まれてる ―― そんな歌も聞こえて来そうです。
これからの一月(ひとつき)あまり、二階のドタドタも続くでしょうが、要領よく手を抜ける器用な人より、鈍くさいうちの俳優さんたちの方が可愛いと思うのは「身びいき」かも知れませんね。
おさだ塾のちょっと賑やかな近頃です。

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『 春の「小さな劇場」』

ホームページ、怠けている間に二月も中旬になってしまいました。遅まき乍ら、おさだ塾の近況をおしらせいたします。つい一昨日(二月十一日)、恒例の草藁生活行を無事に執り行いました。例年通り、上賀茂神社から奥貴船の「ひろ文」さんまで約十キロの行程をわらじばきで歩くというものです。この何十年かの間、一度も天候不順や不測の事態で中止せざるを得ないという事態にもならず、無事に実施してこれたことに、今更乍ら深い感慨と感謝の念を覚えます。天にも地にも、又、支えて来て下さった多くの方々にも、心からの感謝を捧げます。

草藁生活行のあとは、塾に帰って来てすぐ、春の公演の為の稽古です。いっぱい体を動かして、美味しいお食事をいただいて、いろんな方の笑顔にお会いして、塾生皆にとって本当に有難い、幸せな一日でした。

今年の春の舞台は梶田明子の書いた「野々山家の場合」という脚本です。いろんな意味でこれまでとは一味も二味もちがう舞台になると思います。おさだ塾には他にも書ける人が居てくれるので、来年は又、違った人の作品を演れるだろうと楽しみに思っています。

般若林の庭も少しずつ目を覚まして来ています。あらためてゆっくり見て廻りたいと思っています。
自然に囲まれて日々を過ごせるおさだ塾の者は本当に幸せです。自然に励まされ、自然に癒されて、明日への意欲をたくわえることが出来るのですから。
心も新たに、春の公演に向かいます。年々、なつかしいお顔のお客様にお会い出来ることはこの上ない喜びです。更にこれからは、新たなお客様にも大挙してお越しいただけるよう、一層精進いたします。どうぞ一人でも多くのお方様のお運び下さることを、心よりお待ち致して居ります。
公演日時は、三月 三十日(金)午後七時
三十一日(土)午後二時・六時半
四月  一日(日)午後二時
開演です。
是非是非一人でも多くの方々とお誘い合わせの上、お越し下さいますように ―― 。
あふれる熱い心でお待ち致して居ります。

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新年のご挨拶

明けまして
おめでとうございます

平成三十戊戌歳 正月
演劇塾 長田学舎
今年のお正月は晴れやかなお天気に恵まれたおだやかな 新年でした。

初詣の人々も皆、明るい表情でゆったりと歩いています。
こんな日がずっと続けば世界中が幸せになれるのではと思えるような平和な初春です。
せめてここしばらくでも、世界の争いごとを忘れて ―― そんな念いをつぶやいています。

皆々様の佳き日々の、続くことを祈りつつ ―― 。

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