『六月に入りました 』

六月に入りました。五月末の真夏なみの暑さには、身体がついていけなくて閉口しましたが、今は大へんさわやかで、朝夕は上着を一枚重ねたくなる肌寒さを覚えます。

木々も若葉から青葉になり、緑の季節になりました。東山、北山を臨むと緑の濃淡が美しく、眼にやさしさを感じます。
塾へ通う道 ―― 烏丸通りから相国寺北門前通りにあるお寺の塀添いに歩くと、草木のむせかえるような熅(いきれ)が鼻をつきます。今、まさに草木が精一杯力を出して、のびよう、生きよう、成長しようとしているのがうかがえます。
私たちおさだ塾も亦成長する機会をいただきました。五年程続けている「絵本の読み聞かせ」です。佛教大学四条センターで、四月から月一回、月末の土曜日に『「絵本の読み聞かせ」をたのしもう』の講座が始まりました。受講生の方々は大へんたのしみにして来て下さってます。皆さん、真面目で真剣に取り組まれています。半年後の九月には皆さん、それぞれが個性ある味わい深い「読み聞かせ手」になって下さっているだろうと、たのしみです。それだけに私たちも、皆さんの熱意に応えられるだけの心で指導するための努力を積み重ねなければならないと思っています。

おさだ塾では毎年十月に公演します観客完全参加の終日野外劇『町かどの藝能』の準備に入りました。追い追いお知らせしていきますが、先ずその一つは、「一般参加者の募集」です。一般の方々 ―― 生徒さん、学生さん、社会人、主婦の方、十五才から三十五才までの健康な方なら男女を問わず応募出来ます。『町かどの藝能』の江戸時代の芸商人として、おさだ塾のプロの俳優と一緒に参加出演出来るのです。締切りは六月三十日です。
お問合せは 電話075-211-0138 おさだ塾まで。

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『 たそがれどき 』

雀たちが遊んで居ます。
相国寺様のお池のほとり。地面に降りたり樹の枝に止まったり、仲間とせわしなく飛び交って、とても楽しそうです。立ち止まってしばらく眺めていると、すぐ目の前の金網に一羽の雀がひょいと止まりました。本当に目と鼻の先です。すぐに飛び立って仲間の中へ戻りましたが、なんか自分も仲間に入れてもらえたようで嬉しくなりました。単純ですね。
相国寺様の境内は、そう大きくはありませんけれど、とても豊かなところです。小鳥や小さな動物たちの天国で、今日は久しぶりに鴛鴦の番にも逢えました。それぞれが、あっちへ行ったりこっちへ来たり、でも一寸すると又一緒になって泳いでいます。雀たちに気をとられていた間に、なんと、雄が石橋の上に立って羽づくろいをしているのです。「おしどりって歩けるの?」――
しばらくして自分の間の抜けた疑問に思わず笑ってしまいました。鴛鴦だって卵を産んで雛を育てなきゃならないんですから、歩けなくては困りますよね。
そんなこちらの自問自答に何の関わりもなく、彼は悠々と毛づくろいをしてはブルブルっと羽根をふるわせ、本当に気持ちよさそうです。それにしてもどうのようにして水から橋の上へ上がるのか、一寸不思議です。いつまでも見ているわけに行きませんからその場を離れましたが、どうにも気になって、帰って来てから簡単な辞書で調べて見ました。
なんと驚いたことに鴛鴦は「好んで高い木の洞の中に巣をつくる」のだそうです。水の中にいるイメージしか持っていなかった自分のあまりの無知さに、改めておかしくなりました ―― というより、自分が常に関心を持っていることにしか心を向けない己の貧しさに、ちょっぴり疼きを感じています。
相国寺様のお池は本当にいろんなことを教えてくれるところです。

上の稽古場から声出しの声が聞こえて来ます。おそらく「読み聞かせ」の稽古をする為でしょう。
いつ聞いても稽古場からの声は嬉しいものです。

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