今、おさだ塾には二匹の狸がいます。
とはいっても、勿論生きた狸ではありません。信楽焼の可愛いい狸です。
一匹は、
長田先生の三回忌記念の公演で、故・川谷拓三さんが演じてくれた一人芝居「狸と侍」に出演した狸です。
ラストシーンで、幕の蔭からチラッとのぞく狸がほしくて、信楽焼の狸を入手する手配を長田先生の大ファンでいらした「たねやさん」の社長様にお願いしました。
間もなく、素朴な可愛いい狸の焼物が塾に届きました。そしてその狸を「寄贈させてほしい」といって下さったのです。
安易に、いらぬことをお願いした為と後悔いたしましたが、後の祭りです。有難く、有難く、頂戴することにいたしました。
その狸は無事出演をおえたのち、今日までずっとおさだ塾の玄関でお客様を出迎えてくれています。
もう一匹は、
昨年、甲賀市長様から贈られた狸です。
甲賀市市制十周年のお祝いに「町かどの藝能」を公演いたしましたところ、大そう喜んで下さり、臘梅の苗木と共に贈られて来たのです。
右肩にふくろうを止まらせ、左手に「町かどの藝能おさだ塾」という名札を持った、一寸モダンな愛くるしい狸君です。今は先輩の狸君と一緒に、おさだ塾の玄関を守ってくれています。
それぞれに、想いのこもった大切な狸君たちです。
それにしてもおさだ塾は本当に、沢山の方々の温かいお心に見守られているんだなということを、いつも感謝と共に思います。
そんな沢山の方々にお応えする為にも、いい公演を持つことが、私達のやるべきことです。
今一度、全員心を新たにして、春の公演に向かいます。