般若林の庭に宮城野の紅い萩の花が咲きました。
未だチラホラですが、今に枝いっぱいにこぼれ咲くことでしょう。
この萩は、もう随分前に月心寺の村瀬明道尼様からいただいたものです。
はじめは紅と白の両方があり、白い萩はのびのびと、枝葉を伸ばし、花をつけ、紅い萩はひっそりと、遠慮勝ちに咲いていました。
それがいつの間にか白い萩が無くなり、紅い萩だけになってしまいました。
いつ、どのようにそうなったのか、誰にもわかりません。これも自然界の不思議なのでしょうか。
皆さまよく御存知の「お萩」(もち菓子)について。
白い御飯に紅い小豆をつけたこのもち菓子の様子を、昔の人たちは「萩の花のこぼれ咲きのようだ」と御覧になりました。そしてその餅菓子に「萩の餅」と名づけました。
一方、御所づとめの女房方は、たいそう言葉遊びがお上手で、ものの名前の上に「お」をつけ、下半分をとるということをお始めになりました。「ざぶとん」に「お」をつけて下半分「とん」を取れば「おざぶ」、「せんべい」に「お」をつけて下半分「べい」を取れば「おせん」のように。
「萩の餅」もこの方式で上に「お」をつけ、下半分を取り「お萩」になりました。
牡丹の花のさまから名づけられたといわれる「ぼた餅」ですが、これは「おぼた」とはいいませんね。
言葉というのは面白いものです。