相国寺様の蓮池は今まさに満開です。
池のまわりの生垣を 今年はうんと背を低くして下さったので とても中が見やすくなりました。
未(ひつじ)草といわれる睡蓮のように、午後二時過ぎには花を閉じてしまいます。蓮の花をたのしむには何といっても朝が一番いいようです。
只、今年は例年より鉢の数が少ないように思います。気のせいかも知れませんが ―― 。
今年の梅雨はどうなのでしょう。これからも降るのか それともこのまま上ってしまうのか。出歩く人にとっては晴がいいのでしょうが、やはり降る時には降らないと、いろいろと差しつかえが出てきます。
その昔、物を売る前に まずは芸能でお客さまにたのしんでいただき そののちに商いをする、そんな商人さんが沢山居りました。私どもおさだ塾が 毎年秋に公演して居ります「町かどの藝能」の主人公たちです。その芸商人たちは、梅雨の長雨にふりこめられても、決して恨み言をいいませんでした。
この雨のお陰で田に水が満たされ、草木が夏の暑さに耐えられるのだ。これも天の恵みの雨 ― と受けとったのです。
暑い、寒いと ブツブツいい乍ら、クーラーやヒーターにたよる現代とは全くちがった、大自然を敬い感謝の心を忘れなかった昔の人たち。そんな心を少しでもわかろうと、俳優たちは努力しています。
稽古場にクーラーはありません。うんと汗をかいて稽古をしたあとの、冷い麦茶のなんともいえない美味しさ ― 。旅の途中、谷川の冷い水で喉をうるおしたであろう芸商人に想いを馳せるひとときです。