月別アーカイブ: 2016年3月

『 阿 吽 』

相国寺境内にある八幡宮に、時折りお参りする事がある。といっても、わざわざにではなく、通りすがりにといった方がふさわしい参り方である。
社殿の前にはお決まりの狛犬が二頭、「阿」と「吽」が向いあって座っている。阿は口を開け威嚇しているようだが、なんとなく愛嬌があってむしろ可愛らしい。吽は名のとうり、口をギュッと結んでこちらをじっとにらみつけている。如何にも「しっかり者」の感がある。眺めているうちに、ふと、かつて恩師が飼ってられた秋田犬を思い出した。
当時は未だ珍しかった真っ白の毛並みで、頭頂部に丸みのある如何にも秋田犬らしい美しい顔の母犬と、その子供(雄)の二頭である。だいたい秋田犬は吠えないといわれているが、たしかにこの母犬は吠えたことがない。優しい顔と、もの静かなふるまいの、実に落着いたたのもしいお母さん犬だった。
いつの夏だったか、彼女が流しのそばの三和土(たたき)の上にお腹をぴったりとつけ、少しでも涼しいように両手両足を広げて寝そべっていた。そこへ、棚の上のものを取ろうとして、うっかり落としたアルミの鍋が、ガンガラガンガン ―― と。彼女の頭にスポンと、かぶさった。だが彼女はおどろいた風もなく、鍋をかぶったまま、じっとしている。その姿に皆大笑いしたが、それにしても度胸の坐った犬だった。
或る時、母子二頭を連れて運動に出かけた時、子供の犬(八カ月くらい)が何かの拍子に吠えた事があった。途端に母親が子供の背中をガブリと噛んだ。「お前は秋田犬だよ。ほえてはいけない」とたしなめるように。とたんに子供も黙り、恥ずかしそうに(そう見えたのだ)母によりそった。

以前に聞いた話だが、家に泥棒が入った時、その家の秋田犬はじっとその様子を見ていて、泥棒が荷物を持って塀を越えようとした瞬間、ガブリとその足に噛みついて、泥棒を引きずり下した。そしてそのままじっと泥棒の前に座って軽くしっぽをふっている。泥棒がもう一度逃げようと動きかけると又、脚をくわえて動かさない。何度かそんな事をくり返しているうちにとうとう夜が明けて、起きて来た家の人がびっくりしたというのだ。
真偽のほどはとも角、「さもありなん」と思える秋田犬らしいエピソードである。

カテゴリー: おさだ新聞 | コメントする

『 感謝 』

第二十九回春の小さな劇場「おいたち」公演、無事おえる事が出来ました。
ありがとうございました。
少し寒い日はあったものの天候に恵まれ、お客様に御迷惑をかけずにすみました。最終日も夜は雨予報でしたので心配しましたが、開演と同時に降り出した雨が終演の時には丁度止んでいてくれて、本当に有難いことでした。日頃の皆さんの精進がいいからとひと様はいって下さいますが、とてもとてもそんなことはいえない稽古状態でした。でも東京からかけつけてくれた岡田千代、吉田幸矢両先輩にも助けられ、なんとか、なんとか乗り切れました。子供たちの素直な心ばえに助けられたのもたしかです。
お客さまも好意的なお方が多く、それでいい気にならないよう、全員心を引き締めて居ります。

改めまして
御来場下さったお客様、そしてお力添え下さいました皆様、全ての方々に心より感謝申し上げます。本当に有難うございました。どうぞこれからも厳しい御叱正を賜りますように。

カテゴリー: 未分類 | コメントする

『限りない未来』

春の小さな劇場「おいたち」の稽古は着々とすすんでいます ―― と、いえないのが残念です。
今年の舞台には子供たちが三人、出演します。「久山和花」「則武光」「稲生瑛介」の三人です。
「和花」ちゃんは、五年前の「通りゃんせ」の舞台にも出演してくれました。その時は未だ五才で、劇団のお兄さんお姉さんたちにいわれるままに動いているだけでした。でも今回は違います。自分の意志をしっかり持った、美しくて知的で、心豊かなとても素敵な少女に成長してくれていました。image1
「光」君は小学三年生。舞台ははじめてですが、とても豊かな感性を持った明るい少年です。今、ちょっとしたリハビリに通っているのですが、それをお休みしてでも稽古に行きたいといって、お母さんを困らせることもあるそうです。これから先もどんどん成長してくれると期待しています。
「瑛介」君は一昨年の「逆転満塁ホームラン」に出演してくれた「颯士朗」君の弟です。未だ幼稚園の彼にとってはむづかしい稽古内容だと思いますが、それでもあきずに、(時々ねむくなってあくびをしながらも)けなげにがんばってくれています。

いつも思うのですが子供たちというのは本当に無限の可能性を持った存在です。一緒にすごせるこの稽古期間、沢山の示唆を大人たちに与えてくれています。今年の舞台も、きっと彼や彼女たちに支えられて、いい公演になるでしょう。

image2

カテゴリー: 未分類 | コメントする

今週末は

2016春チラシ-1

2016春チラシ-3

 

カテゴリー: 未分類 | コメントする

『春の気配』

久しぶりに雨上がりの相国寺様の境内を歩いてみました。
何となく春のもやもやとした気配があたり一面に漂っています。
とはいえ、植込みの緑の木々の葉っぱの色は今一つあざやかではありません。ひょっとすると殺虫剤か何かを撒かれて、葉の色が悪くなっているのでしょうか。
冴えない葉の色にひきかえ、あちこちの木々に芽吹いた新芽はずい分力強くなりました。
桜の木には何となく淡いピンクのもやがうっすらとかかっているようで、不思議です。
池の水も、心なしかぬるみはじめたようで、時々鷺の鋭い声がひびきます。そのうちに亀たちが、ヒョコンと首を出すでしょう。
夏には美しい花を咲かせる蓮の鉢は、未だ無表情な泥土におおわれています。
特にこれといった変化があったわけではないのに、それでも何となく春の気配を感じるのは、やはり人間も自然界の一部だからでしょうか。
未だあちこちに水たまりの残る境内には、あまり人影がありません。でももう少し時が経って夕暮れどきともなると、仕事がえりの人たちのあわただしい足取りで境内は俄かに「人」の世界の色が濃くなります。生き生きとした人の生活(くらし)の営みの力に、境内が活気づくのです。ただスピードを出して走る自転車には、いささか困るのですけれど ―― 。

それまでのほんのわずかな一ときを、もう少したのしんでみましょう。

カテゴリー: 未分類 | コメントする