例年より遅い初雪に、冬枯れの庭木もちょっと寒そうな風情です。
二月十一日の建国記念日は、おさだ塾にとってとても大切な年中行事の一つ、「草藁生活行」があります。但し、建国記念日だからではなく、年間で一番寒さが厳しい時期だからです。
この行事は、四十年以上も前から一度も欠かすことなく続いています。最初の頃はマラソン大会で、上賀茂神社から奥貴船までの街道を走りました。でも「町かどの藝能」を始めてからは草鞋履きで歩くことに切り換えました。
この日、おさだ塾の俳優たちは「町かどの藝能」に生きる芸商人として、「お命」を預かった役の人物と二人連れで歩きます。
風のつめたさや、雲間から覗く陽のわずかな温もり、路傍の草木のたくましい生命力を感じ乍ら ―― 、時には江戸時代の芸商人たちが、自然とどう向き合ってくらしていたのだろうかと思いを馳せながら ――。
昔の人の、そして芸商人たちのくらしに少しでも触れる体現をしながら歩くのです。
歩き終わった後、料理旅館「ひろ文」さんの温かいお風呂で汗と埃を流し、それから一人一人、昨年一年間の反省と今年の目標や抱負を発表して、一年の精進を誓います。
ですからこの日は、ある意味おさだ塾の正月元旦ともいえましょう。その後、美味しいお料理をいただき楽しいひと時を過ごします。
この席には、夢素美会(おさだ塾の友の会)の方や、いつもたすけて下さる方々もご出席くださり、その方々に何か勉強したこと(お話やエチュードなど)を発表し、たのしんでいただきます。