投稿者「おさだ塾」のアーカイブ

『十五日正月』

今年のお正月もはや十五日、芽出度く納まります。
近頃はほとんどのお家でなさらなくなったようですが、これまでは小豆のおぜんざいをいただく日でした。
お正月の三ヶ日は白味噌仕立てのお雑煮、七日は七草粥、そして十五日には鏡餅を開いて小豆のおかゆ、もしくはおぜんざいをいただいたのです。尤も、お家によっては十日のところもあったり、多少の違いはあったようです。そんな風習もだんだん姿を消して行くようで 伝統の行事が忘れられていくのは淋しいものです。マスコミの方々も、もう少しそうした伝統を大切にする方向へ向いて下されば、今より少しは変わる気がします。
文化人といわれる方々も、日本人としてのアイデンティティをもっともっと尊重してほしいなと思います。いろんな行事には必ずその理由(わけ)があります。そしてそこに日本人としてのものの考え方の根本があったりします。皆がその理由をよく知って、永く永く続けていってほしいなと、切に思います。
伝統とは、「只古くから ―― 」というものではありません。先人たちが残して下さった「誇り得る、輝ける歴史」なのです。それを絶やしてしまっては、日本人の日本人たるゆえんが無くなってしまいます。今一度ここで、ふみとどまって、ふり返り、見直して、残すべきものは残していってほしいと切に願います。文明も医学も乏しかった頃、そうした伝統がどれほど人の暮しを助けて来たか、計り知れません。先人の知恵の尊さを、消し去らないた
めにも、今どうしても「やらなければならないこと」だと思いま
す。
何気なくやっていることでも、「その生まれて来た理由(わけ)」を知れば、どんなに素晴らしいことかが発見出来、そして理解出来るのではないかと思います。古くからの知恵を御存知の方々、今こそ声を大にして、次の世代に残してあげて下さい。例え今は「無視」されても、いつか、きっと、感謝と共に生命を吹き返すはずです。あきらめず、日本人の日本人たるゆえんを大切に生かし続けていただきたいと、切に、切に願います。

おさだ塾の春の公演は 斉藤浩未・作の『居酒屋「とみしげ」にいらっしゃ~い』に決まりました。今までと一味も二味も違った新鮮なお話です。どうぞ楽しみにして、一人でも多くの方々に御来場いただければ本当にうれしく思います。
どうぞ、ぜひぜひ お運び下さいますように ―― 。
公演日は、三月二十二日・二十三日・二十四日です。
お一人でも多くの方のお越しをお待ちして居ります。

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『 事はじめのころ 』

例年、十二月十三日、祇園の芸・舞子さんが井上流家元の井上八千代さんのところへ「事始め」の御あいさつに行かれます。
お正月の準備をこの日から始めるという日です。一般の家庭では未だ未だそこまで手がまわらず、年末の家庭内での始末さへ、ほとんど手をつけられていないのが実状です。でも、うかつにこんなことをいうと、「そんな事ありません」というお叱りが来そうですね。その時はお許し下さい。

京都もだんだん冬らしくなり、今日は空の色もどんよりと鉛色をしています。そのうち、底冷えにふるえ上がる日が来るでしょう。
雪国に、身近な人の居られる人に聞くと「もう春の四月までは会えない」とのこと。いつ、なんどき、激しい風雪に足止めされるかわからないからだそうです。
同じ日本の中ですが、厳しい気候の土地に居られる方々にとっては、もう「寒さに耐えて春を待つ」時季なのでしょう。
底冷えの厳しい京都ですが、もっと寒い雪国の方のことを思えば、不足はいえません。ここまで書いて来て思い出しました。
北海道から来た青年が、はじめての京都の冬には、ふるえ上がったそうです。聞いた私たちはびっくりしましたたが、雪国や北海道の寒さと、京都の底冷えの冷たさは又「別物」のようです。
今は未だ例年より暖かい日が続いていますが、この先どんな寒さがやって来るかわかりません。油断せずに体調管理に気をつけましょう。
とりわけ俳優さんたちは絶対に「風邪」を引けませんから、これからが試練の季節です。まめに嗽をしたり、手を洗ったり、細かく気を配って全員元気にこの冬を乗り切りましょう!

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『 この頃 』

少し気味が悪いほど 暖かな十二月です。でも予報によると 間もなく寒気がやって来るとか。自然は それなりにきちんと移り変りつつあるのでしょう。

おさだ塾のOBの人たちの中に 現在は四国高知県で写真家として活動している人がいます。演出志望でしたので 長田先生に勧められ アルバイトを兼ねて、しばらくは撮影所のカメラ助手をしていました。今の仕事にも、きっとその頃の経験が生きているのでしょう。この上なく穏やかで親切な人物で、未だに何やかやと塾のことを心配してくれています。美味しい蜜柑を送ってくれたり、記念公演の時には素敵な写真をいっぱい撮ってくれたり ―― 。
思い返すと、OBの人たちの中にはいろんな人がいます。「いました」といわなければならない人もあって、 大木晤郎さんもその一人です。未だに彼を慕う後輩も沢山います。いつか、稿を改めて、今日までの塾を支えて来てくれた多くの人たちの事を書き残さなければと思っています。

毎年末、恒例の「小さな小さな劇場」の発表会を、新春の阪神デパートさんでの公演準備の為、中止にしてしましました。ところが公演予定場所の使用許可がおりない為(公的な空間)、 公演が中止になり、皆、ガッカリしています。今更、年末の公演をやってもそれこそ付け焼刃になってしまいます。本当に残念ですが、止むを得ません。そんなこんなで 一寸心残りの多い年末になりそうです。でも新しい年には又いい事もあると信じ、又、あるようにしなければと心を新たにし、一歩でも二歩でも、前に向かっての歩みをすすめて参ります。
どうぞこれからも、温かいお心をいただけますように。

何か年末の御あいさつのようになってしまいましが、決してそうではございません。又、思いも新たに、来年に向かっての活動予定などをお知らせいたします。
どうぞ楽しみになさって下さい。

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『冬の訪れ』

めっきり 冬ざれて来ました。
気温は 未だけっこう高いのですが、まわりの景色が少しずつ変わって来ています。空の色も 渡る風も 心なしかこころせわしく感じます。
そんな冬への足音が聞こえる中、おさだ塾の東渡り廊下に赤い可愛らしいすだれが下りはじめました。干し柿です。裏庭で採れた可愛らしい渋柿たちです。以前も作ろうとしたのですが鳥たちに全部食べられてしまって みんながっかりしていました。久しぶりに挑戦するのですが、きっと何か工夫をしてくれているのでしょう。無事に出来上がれば、皆大喜びすると思います。ささやかな事ですが、これも心にゆとりが無ければ出来ない作業です。忙しい中、そんなことをやってくれる人たちのことを本当にうれしく誇らしく(大げさなようですが)たのもしく 思っています。

  願わくは 鳥たちよ、こんなささやかな幸せをこわさないでおくれーー

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『「町かどの藝能」を終えて』

十一月も、はや中旬に入りました。暫くご無沙汰をして居りました事、お赦し下さい。
『町かどの藝能』その四十四(十月十二日、十三日、十四日)の公演は晴天に恵まれて無事に幕を降ろす事が出来ました。報告と御礼が大へん遅くなりましたこと深くお詫び致します。

『町かどの藝能』は公演前の準備と、終わった後の片づけに大へん時間がかかります。今年もやっと全て終える事が出来ました。「ホッ」としたいところですが、来年春の「小さな劇場」の準備にかからなくてはなりません。さあ、誰がどんな脚本を書いて来てくれるのかたのしみです。
後片づけの折、休憩のひと時に思いだすのが『町かどの藝能』の三日間、公演の最後に芸商人が揃って唄う「お別れ甚句」に耳をかたむけて下さったお客様の笑顔です。
 〽今日の御縁のこのおつきあい、厚く御礼申します   
皆々様の御身(おんみ)の上の幸せ深く祈りつつ
又のお目もじお誓い申し これにてお別れ致します
これにてお別れ致します ―― 。
芸商人たちがお見送りするお客様の背に、ほのぼのとしたぬくもりを感じました。
「『お別れ甚句』を聞いて帰らんと『町かどの藝能』を見た事にならへん」「『お別れ甚句』聞いて、今年もこれで終わりやな」等お客様は有難いお言葉を残して帰っていかれます。ほんとうに嬉しいありがたいことです。
そして、又来年、お客様により楽しんで、喜んでいただけるように、今年の反省を生かして精進していかなくてはと思って居ります。
あっ、そうでした。何度かお話しておりました三人の見習いさんはよくがんばってくれました。殊の外暑かったこの夏、一生懸命稽古に励んだ三人でした。公演の三日間芸商人の見習いとしてしっかり生きて居りました。お客様も、見習いさんの初々しさに触れ、ほほえましい気持ちで接してくださいました。三人とも今回の経験で学んだ事を生かし、次に向かって成長してくれる事を願っています。

般若林の風情も変って来ました。楓や銀杏の色づきはまだ少ないですが、桜の葉は美しい紅色や黄色で地面を染めています。花梨は豊作で黄色い大きな実が鈴なりになっています。鉢植えの山茶花も、白と桃色の花が咲きはじめました。
暖かな霜月だと思っておりましたが、ここのところ日に日に寒さがましているように感じます。
どうか皆様お身体おいとい下さいますように。

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おさだ塾 秋の公演のお知らせ

秋

秋2

 

 

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町かどの藝能

今年も公演致します。

是非お越し下さいませ。

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『 秋の先ぶれ 』

台風一過 ―― というわけでもないのに、
なんという今日の涼しさでしょう。
少し体がびっくりしています。
空の色も、もう秋の透明な青 ―― 。
自然の力の「凄さ」に、今更ながら「感動」です。でもこの涼しさはいっときで、又暑くなるとか、「少しは手加減して下さいね」と胸のうちでつぶやいています。
毎年思うのですが、何故か夏の終わりには一抹の淋しさを感じます。不思議なようですが、これは生きものの人間としては自然なことかも知れません。人間とて、自然の中でいかされている一員なのですから。
秋に淋しさを感じるか、実りの喜びを感じるかは、それは自然の恵みの働きにかかわる度合いで変わるのだそうです。当然、「土」に生きてられる方々には喜びのときでしょうし、人工の中で生きている者にとっては寒さへの入口、冬への序曲と感じられるのでしょう

それにしても本当に、昨日までの暑さが嘘のようです。体調をくずさないよう、気をつけなければ ―― と思うのは、年齢のせいでしょうか。

昨夜の雨をうけて庭の緑は生き生きと輝いています。夏の暑さに負けない力強さです。自分たちも又自然の中の一員である事を、いつも思い出させてくれる般若林には、尊敬と感謝あるのみです。

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『 盛夏 』

真夏の午下がり ―― 。
あたりは森閑と静まり返っています。
暑さに耐え、何もかもがじっと息をひそめているようです。
蝉の声すら聞こえません。何か別世界にいるようで、ちょっと不思議な感覚です。
めずらしく稽古場も、今日は用う人も居ず、ひっそりと休息しているようで、「いつも有難う、こんなに静かなのは久しぶりね」―― 心の中でつぶやきました。
真夏の花の芙蓉もさすがにぐったりとしています。庭の緑もいつになく艶やかさがありません。「一雨、来ればいいのに ― 」―― そう思うと、俄かに水が恋しくなりました。
このところ、本当に雨が降りません。夕立すらしてくれません。「あぁ、一雨降って下さい」―― 昔の人の雨乞いほどの切実さはないにしても、本当にそう思います。
皆さまも暑い中、どのようにお過ごしでしょうか。やはりじっと耐えてられるのか ―― 。でも甲子園のことを思い出すと、とたんにシャキッとしました。
人間って本当に心の持ちよう一つでずい分変わりますね。グランドに立つ若者たちは勿論、応援席の人たちも皆、暑い中でも元気いっぱいです。「暑い暑い」とぼやいているとよけい暑くなります。
ここらで気分を換えて、夕暮れまでもうひとがんばりしましょう。

そう思ったら、少し涼しくなりました。

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『 酷暑 』

容赦なく照りつける太陽に、「もういい加減に雨を下いさよ」 と いいたくなります。
本当に今年の夏は雨の降ることが少く 夕立すら降ってくれません。その割に「渇水」「琵琶湖の水不足」と言う言葉があまり聞かれないのはどうしてなのでしょう。
そうした一方で、水害がおこるほど降っているところもあります。狭いようでもやはり 一つの「国」ともなると それなりにいろんな気候が存在するのですね。

般若林の庭の木々の葉が、キラキラ輝いています。ギラギラといいたいくらい、強い日差しですが、それでもグッタリしてないのは、地面の「土」のお陰でしょう。
コンクリートだらけ、アスファルトだらけの町中に在って、こんなにも土に恵まれている般若林はやっぱり素敵なところです。

秋の「町かどの藝能」公演まであと二月(ふたつき)、暑い稽古場で噴き出す汗をぬぐい乍ら、皆がんばっています。稽古場から流れて来る三弦の音色に耳をいやされたり、突然の大きな足音に驚かされたり、賑やかな稽古場の様子を体感しています。
それにしてもこんな暑い最中に、誰に頼まれたわけでもないのに あえて暑い稽古場で汗を流す俳優たちは、やっぱり世間様から見れば「変わり者」でしょうね。でも自ら選んだ道ですから、誰も愚痴はいいません。うんと汗をかいた後の清々しさを知っているのも、暑い稽古場のお蔭(?)でしょう。そんな日々ですから、毎朝沢山のお茶を沸かします。それを水でさまして、稽古に来る人の為に準備をしてくれる先輩たちの有難さを、後輩はどれほど知っているでしょう。ふっと先輩たちにそういうことを云うと 先輩たちは笑って答えます「私達も自分の先輩にして来てもらったのですから」―― 。
人に何かをしていただく有難さ、それに感謝する心、そして自分も又、何かをしてあげられる人になること、おさだ塾のこうした歴史は、これからもずっとくり返されて行きます。

秋の「町かどの藝能」公演は、
十月十二日(金)・十三日(土)・十四日(日)です。 どうぞ
皆様お誘い合わせいただいて、お一人でも多くの方のお越しをお待ちして居ります。

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