窓から入る日差しが、少しずつ長く影を落とすようになって来ました。
二月十一日の草藁生活行、お蔭様で無事に了えることが出来ました。有難うございます。
今年は久しぶりの、又、初めての方の参加があり、とても嬉しい会になりました。
まず、二十数年ぶりに出席して下さった石崎直人氏御夫妻。河田洋志が京都へ出て来てはじめて、長田先生の紹介で行ったバイト先で出会った先輩です。
仕事は一生懸命まじめにしますが、同時に、来られるお客様に片っぱしから声をかけて公演の券を懸命に売ろうとする若冠十八才の河田。世間も知らず、只、熱意だけで夢中になっている彼に「お前は仕事をしに来てるのか、券を売りに来てるのか」と呆れる仲間たち。
そんな彼を温かく見守り、仕事だけでなく世間というものも教えて下さった有難い先輩です。爾来三十数年、ずっと河田を可愛がって下さり、劇団にも何かと協力して下さっています。
次いで、長田純俳優養成所の第一期生で、おさだ塾舞台公演の金字塔とでもいえるような舞台「雲水」で、主人公の若き修行僧を実に美しく演じてくれた辻義博さん。
「町かどの藝能」では若いのに「番頭」の大役を与えられ、後輩の男性陣が華々しく活躍するのを陰からそっと見守り、会場全体に気を配り、穴が開かないよう本当に細やかな気配りの出来る“ほんもの”の番頭をつとめてくれました。
種々の事情で俳優の道をあきらめていた彼に、おさだ塾五十周年記念公演「女人抄」の時、「どうしても出演してほしい。その代り、二度と無理はいわないから」と口説き落とし、出演してもらいました。
特高といわれた、いわゆる思想犯専門の刑事に追われる青年の役です。出番は少しですが、当時の世相と、時代の荒波の中で必死に自らの信念を貫こうとする若きインテリ青年は、彼にしか出来ないと思ったからです。予想通り、本当に素晴らしいシーンを創ってくれました。
のどから手が出るほど帰って来てほしい俳優ですが、約束した以上無理はいえません。そんな彼が俳優としての仕事ではありませんが、塾の大切な行事に久々に、本当に久々に参加してくれたのです。彼を知らない塾生たちも心から喜んでいました。
又、早川典男君の友人の岩本真智子さんが、はじめて参加して下さいました。
去年の秋の公演と十二月の小さな発表会の時、彼に誘われて友人とお二人で来て下さいました。早川君の人柄に相応しい(失礼ないい方ですが)、とても明るくて誠実な方々でした。今回はその友人は御都合が悪かったのですが、それでも来て下さったのです。みんなとも気さくに話して下さり、とても有難かったです。
これからもどうぞ塾と仲良くして下さり、見守って下さることをお願い致します。
なんか、一番しんどかったであろう歩いた人たちのことがそっちのけになりましたが、それは「当り前」の事ですから、ゆるして下さい。
まずは草藁生活行が無事に終わったことの御報告と、嬉しかったことを書かせていただきました。
又近いうちに、他のこともおしらせ致します。